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建築系職人2.0

町の便利なクロス屋さん公式ブログ。バージョンアップし続ける職人になるため道中記

第13回【コラム】ストレスフリーな仕事!?

 とある金曜日の夕方。居酒屋に入って席にすわると、となりにはサラリーマンらしきグループがいました。話し声が聞こえてきます。

「部長はわかっとらんよ」

 日本の脚本家の9割は描くであろう、居酒屋でのサラリーマンのセリフです。典型的なグチなので、すこし感動しました。

 同時に、居酒屋はやっぱり必要な存在なんだなと思いました。仕事においてのストレスを、発散しないといけないのですね。

 その点、工事屋は彼らからくらべてストレスフリーといえます。クロス屋もそうです。

 張替えの現場では、まずクロスをはがします。このはがす行為は破壊行動なのです。ですから、スッキリするのです。

 究極的なのが、解体屋です。ショベルカーで建物を破壊します。あれはやってみたいですね。

 大工も解体をします。室内のものをバールで破壊します。肉体労働の極致ですが、ストレス発散度は、かなりのものです。

 イヤなことがあれば、それを思い出しながらバールやハンマーを振り下ろすのです。考えただけで、気持ちよさそうです。

 職人本人は、あまり意識していないかもしれませんが、知らず知らずのうちにストレスフリーの「恩恵」を受けていると思われます。

 北野武監督「アウトレイジシリーズ」に出演した西田敏行氏は、撮影中は体の調子がよかったそうです。

 病院でなにがしの数値をはかると、普段より改善していたといいます。

 その理由は、セリフです。「なんじゃいボケぇ」「ぶち殺すぞぉ」などの普段使わないキツい言葉を怒鳴ることで、ストレスが発散されたというのです。

 ですから、サラリーマンの居酒屋での「部長ぶっ殺す」などのグチは、必要なわけです。

 世の中はストレスだらけですから、自分なりのストレス解消法をみつけておくことが重要ですね。

 ちなみにわたしのストレス解消法は、ゲームと映画です。しかも、ゲームも映画も、セコく何回も繰り返してプレイしたり観たりします笑



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 次回の更新日は1/28です
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第12回【基礎知識】はがれ(めくれ)にくいクロスの考察

 張替え現場の一番の懸案事項は、「はがれる」か「はがれない」かです。

 これは、結構大問題なのです。というのも、はがれにくいことで生じた時間は、利益に反映されないからです。つまり、単価は同じなのです。

 この、はがれないクロスの理由を、考察していきたいと思います。

 とはいうものの、原因はよくわからないのです。職人によって、その認識はマチマチです。

◎乾燥説・・・クロス(ビニール)が乾燥して、繋ぎ止める力が弱まった(朽ちた)ため

◎ボンド・シーラー説・・・糊の接着剤能力を高めるために、混ぜ合わせたボンドや、下地面に塗布するシーラーによるため

◎材料説・・・クロス(ビニール)の種類によるちがいのため。発泡系クロスははがれにくい。乾燥説にもつながる

◎下地湿潤説・・・湿度が高い環境で、下地の表面が乾ききっていないときに施工したため。モルタルなら塗ってちょっとしてから貼ったり、ボードも仕上げてちょっとしてから貼った(ボードは積み重ね保存のため非乾燥)。糊の接着剤が下地内部の水分に誘引され、接着範囲が浸透していった

 ざっと、こんなもんでしょうか。

 乾燥していても、はがれるものもありますし、ボンド使用ならすべてがはがれにくいはずなのに、はがれる部屋もあったりします。

 下地湿潤説は、梅雨の時期をいいますが、これも、同じ時期に貼っているのにもかかわらず、はがれる部屋もあれば、はがれにくい部屋もあるのです。

 いろんなケースがあるので、どれも断定できないのです。となると、複合的に起こる事象かもしれませんね。個人的には、材料説ですかね…。

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ボードの表面の紙まではぎとってしまい、裏地のグレーが露出!

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唯一残る部分は、皮肉にもパテ部分・・・!

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白い部分が、クロスの裏紙がきれいに残った、本来あるべき状態



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第11回【基礎知識】このジョイントめくれの理由

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とあるジョイントのめくれ

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拡大

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はがしてみると、パテの上

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パテの上だけがクロスがついていない


 たまに見かけるこの現象の原因は、パテの上でのジョイントによるものです。

 パテの表面には、クロス貼りの前に行なったペーパー処理時に出た粉が残っています。

 その粉が、クロスの糊を吸収するのです。すると、糊の接着能力が低下します(「第2回【基礎知識】パテの上にクロスがつかない理由」参照)。

 それが時間が経つと、ジョイントのわずかなスキマに水分が入り、ホコリを呼びます。その繰り返しで、ジョイントは徐々にめくれてくる…というわけです。

 ですから、湿度の高い環境で、このような現象が起こります。写真のお部屋はキッチンでした。

 おそらく、住んでいた方は、換気扇をあまりまわさなかったと思います。よく換気をする人の家ほど、こういう現象はあまりなかったりします。

 とはいえ、ジョイントが開く場所は、決まってパテの上です。パテ以外の場所では、開いていないのです。

 ということは、パテの上にジョイントが来ないように貼れば、このようなことはなかったのです。

 ではなぜ、職人はパテの上でジョイントをするのかというと、施工スピードを重視したからです。

 パテの上以外にジョイントをするとなると、もう一本ジョイントが必要になるのです。

 これは、下地ボードの横巾サイズと、クロスの横巾サイズが同じことが原因です。

 材料が3巾で収まるのなら、3巾で収めるのがセオリーです。そのときのジョイントの数は2本です。そこを無理に3本にはしないものです。

 つまり、ボードを貼る大工とクロスを貼る職人は、同じ貼り方をするということです。

 ボードのジョイント部分にパテをして、その上にクロスのジョイントをするのです。なかなか不健全ですね。

 基本的に、大工も最小限の材料で、最低限の作業工程で施工します。クロス職人も同じなのです。

 こういうことから、クロス職人はパテの上でジョイントをしてしまうのです。

 職人によっては、ジョイントを増やしてでもパテ上を避けようとします。こういう職人は、良い職人といえます。もちろんわたしも、パテ上を避けてジョイントをします。

 しかしそれは、余分な工程を必要とします。時間を犠牲にしてしまうのです。それでもパテ上ジョイントを避けるかどうかは、職人のポリシーに委ねられます。

 ほとんどの職人は、残念ながら前者です。施工スピードが早い職人がそうです。

 ただ、パテ上ジョイントは悪だとわかっていても、ジョイントの数は少ないほうが正義と思っている職人もいます。

 こういう職人は、マジメで技術力が高いです。写真の現場でも、コーキングなどが非常に几帳面にうまく打たれていました。

 皮肉なことながら、マジメゆえに懸命にペーパーを擦り、仕上げとしての正義を大義としてパテ上ジョイントをして、結果、ジョイントの劣化を早めているのです。

 残念な話ですが、ほとんどのクロス職人が、これに当てはまります。



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 次回の更新日は1/7です
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第10回【上級技術】パテで膨らんだまま固まったこいつをどうするか

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 このままクロスを貼ると、ボコボコのままになりクレームになります。これをなんとかするには、3つの方法があります。

 1つ目は、ペーパーで擦りまくります。擦った粉で糊を飛ばし、下地露出を防ぎます。事実上の袋張りになります。

 2つ目以降は有料です。マガブロを購入ください。1つ目以外の方法を知りたい方のみご覧ください。



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第9回【コラム】100%の力を出して仕事をしてはいけない

 聞き捨てならない話ですが、職人はフルパワーで仕事に臨んではいけないのです。

 基本的に職人は、よい仕上げを目指します。しかし、リフォーム工事ともなると、よい仕上がりにならないときがあります。

 古い下地に新規の仕様をくわえるのですから、よくなるわけはないのです。それが、下地不良でクレームになることがあります。

 下地を造るのは大工です。大工も大工で、できることはしています。しかし、最終仕上げのクロス工事で、やっぱり下地不良というわけで、クレームになるのです。

 下地不良なのは、できるかぎりのことをしたクロス屋の責任ではありません。

 ですが、顧客からのクレームは、対応せざるをえません。それで、クレームとしてクロスを張替えることにより、顧客に対する誠意を見せるわけです。

 張替えて下地不良が改善するかどうかはべつとして、とにかく張替えです。しかも、材料費は職人持ちという理不尽極まりない話です。

 わたしも、こういう理不尽さを何回も経験しました。クロス工事において、こういう事例は数多くあります。

 よい仕上がりのために全身全霊をかけた結果、構造上仕方なしのクレームで、材料費を払わされ、再度の工事はもちろんタダ働きになるわけです。一回目の工事費はもらえたとしても、結局は赤字です。これほど惨めで屈辱的なことはありません。

 職人がブチ切れて、クレームをなおしにいかないこともありますが、それは、こういうことを経験していた可能性があります。

 職人に逃げられる内装屋や工務店は、このことを理解しないといけません。これを解決するには、内装屋や工務店などの管理者の経験や国語力がモノを言います。

 クレームの多くは下地の問題ですから、下地が出ざるを得ない構造上の仕組みを、きちんと顧客に伝えられればいいのです。それを、顧客に最初に伝えることです。

 「下地処理はいたしますが、どうしても下地の不陸が露出する可能性があります」とでも言えば、ほとんどの顧客は納得してくれるはずです。

 納得してくれることが、一番重要です。後で説明でもしたら、言いわけみたいになり、顧客に「なんでいまごろそんなことを言うの?」と、よけい怒らせることにもなります。

 そういう説明もしないで、事後処理的に「クロス屋が悪い」としてクレームを出して張替えさせ、「誠意は見せます」となるのです。

 そんな、惨めと屈辱の毎日では、気が狂います。つまり職人には、「かばってくれる管理者」が必要なのです。

 顧客にきちんと説明できる経験と国語力を持つ管理者が必要なのです。しかし、残念ながら、あまりいないように思います。

 そういうことまで考えると、なんらかのクレームがあることを前提として、現場に臨むべきです。ですから、毎回100%の力を出すのは、無謀とも思えるのです。 

 逆にいえば、しっかりしている管理者の現場なら、100%の力を惜しみなく発揮する価値があるということです。とはいえ、やはり全身全霊で挑むのはリスクです。

 100%の力を出さないなら、どうすればいいのかというと、70%くらいの力を出すのがベストです。

 残りの30%は、またなおしに来るつもりでいればいいのです。そうすれば、いざクレームが来ても「ま、70%の力しか出していないからね」と、自分に言いわけができて自分を護れるのです。

 職人の仕事は、自分の分身のようになります。それをダメ出しされたら、自分自身が否定された気持ちになり、死ぬしかないような気持ちになるのです。

 全身全霊で仕事をするべき職業は、年俸何億も稼ぐスポーツ選手だけかもしれません。

 とはいえ、70%ともなると、手抜き感は否めません…まあ、顧客に「70%の仕事をしますから」なんて言うことはないのですが…。しかし、こう考えてはどうでしょう。

 ドラゴンボールの孫悟空は、70%の力でも余裕でヤムチャはおろかフリーザをも倒せるはずです。ポテンシャルの差が重要です。つまり、孫悟空のように、自分自身をかぎりなく成長させればいいのです。

 職人の成長とは、技術力向上もそのひとつです。自分の70%の技術力が、他人の100%の力であり、ハイクオリティーの仕事であればいいのです。

 技術力をパーセンテージであらわすのはむずかしいですが、大事なことは、職人としてやっていくための、クレームに対する精神のコントロールです。

 毎回100%の力でやっている職人は、クレームがあっても対応してくれません。プライドが許さず、「ウチはそんな仕事はしてない」とかあれこれ言いわけをするものです。なおすことが屈辱で、それが耐えられないのです。

 すると、内装屋や工務店は、あきらめて職人を変えるのです。皮肉なことに、技術力がある職人ほど、仕事をなくす傾向にあります。その多くは、プライドゆえのものです。さらに悪いことに、仕事を選んだりもします。

 職人は単純ゆえに、すぐ有頂天になります。ですから、技術力がある職人ほど、やっかいな人間はいません。それでも使いこなすのが、すぐれた管理者というわけです。

 一番いい職人は、技術力は普通で、クレームでもイヤな顔ひとつせずに来てくれる職人です。

 そういう職人なら、たくさん仕事をふりたいと思うはずです。もちろん、技術力が高くて、クレームでもすぐに来てくれる職人が最高…ということになります。

 そんな、すこし気を抜いて仕事をする…これが最良です。たとえ気を抜いた仕事でも、クオリティーが申し分なければいいのです。

 これなら、日々を穏やかに余裕を持って仕事に臨めます。わたしは、そこを目指しているのです。



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 次回の更新日は12/14です
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第8回【基礎知識】クロスの汚れの正体は

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 古いクロスに、茶色い汚れがついていたりします。

 じつはこれは、クロスの糊の痕(あと)です。

 施工の段階で、糊のついたクロスの裏地が、仕上がったクロスにベチョっとついてしまうのです。

 糊については、職人はあまり関心を持っていないように思います。「スポンジで拭けばいいよ」と、軽く思っていたりします。

 スポンジで拭いて、糊が落ちれば苦労しません。意外とむずかしく手間なのです。

 糊が取れたかどうかたしかめるには、手でさわればわかります。ヌルっとしてたらまだついています。

 ほとんどの職人は、手でさわりません。スポンジで拭いたという行動意識が、自分を納得させるのです。それで、スポンジで拭いただけで終わるのです。

 そもそも、なぜ糊をつけてしまうのかというと、職人は施工で必死なのです。とにかく仕上げて帰る…の思いです。こういう職人がほとんどです。

 写真は、じつは吹抜けの天井付近です。ですから、よけいでも施工に必死になり、糊をつけないように仕上げる気持ちが希薄になります。

 職人の技術の限界は、こういうところでわかります。

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●くっきり手形の跡が・・・!

 また、工期の問題があります。ほとんどの現場は、工期がありません。なぜないのかというと、大工工事の部材の発注漏れやミスによる遅延や、むずかしい造りによる施工の遅れです。

 それらのシワ寄せは、クロス屋に降りかかります。それで、急いで貼ることになり、必死になるというわけです。

 糊拭き取りの問題は、わたしはつねに考えていました。それで、ついに解決したのです。

 仕上がったクロスと枠に、95%は糊をつけずに施工する方法です。それについては、いずれお話したいと思います。



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 次回の更新日は12/7です
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第7回【コラム】職人のセンス

 自宅のバスルームの蛇口から水漏れがあったので、大家さんにお願いしてなおしてもらいました。

 現場に来たのは年配のひとでした。なおしたというので確認してみると、なんとシャワーヘッドだけの交換をしていたのです。

 水漏れは蛇口のひねるところの問題なのですが、そこはつつかずなのです。案の定、水漏れはなおっていません。

 その年配のひとは、多少器用になんでもできるひとのようで、職人ではないことがわかります。

 連絡を任せたウチの者の言いかたも悪いのです。「シャワーからポタポタ水が漏れます」と、そのままを伝えていたのです。ですから、シャワーヘッドだけを交換したのです。

 もっとも、本職なら、シャワーヘッドの問題ではないことが、すぐにわかるはずですが…。ちなみに、わたしもすぐにわかりました。

 もう一回なおしに来てもらいました。するとなんと、またシャワーヘッドだけを交換していたのです。

 また大家さんに事情を説明すると、やっとプロが来てくれたのです。それで、本体ごと取り換えてくれて、ちゃんとなおったというわけです。

 ウチの者によると、わたしが言ったように本体の問題であると言い、テキパキと作業して、さらに、浴室内の壁が浮いていた部分をついでになおしてくれたのです。

 ウチの者も関心していました。しかし、その仕上げを見るかぎり、わたしからすれば「中の下」の職人です。

 なぜなら、浴室内の壁はパネルで、そのスキマを防水のコーキングをしてくれてたのですが、古いコーキングを残したまま上からコーキングをしていたのです。

 さらに、蛇口使用の説明シールが、若干斜めに貼られていたのです。まあ、どちらも機能を果たしているので、問題はないのですが。

 そういうことを気にする人と気にしない人がいます。じつは、このちがいがセンスです。

 「コーキングは打っておけばいい」「シールは貼っておけばいい」という感覚は、素人のはずです。職人はプロですから、さらに上の感覚であるべきです。

 もっとも、コーキングはサービス工事なので、適当でいいかもしれません。とはいえ、古いコーキングのカットは、浴室内だけにかんたんにできるはずですが…。

 おそらくこの職人は、たとえ工賃をもらっても、同様の仕事をするはずです。「タダだから、古いコーキングをカットしなかった」なんて打算的なことを考えるなら、初めからサービス工事などしないはずだからです。

 センスがあると、そういうところまで気にして、きちんとするようになります。細かいところまで気くばりできれば、気の利いたモノになり、その積み重ねが、つねに完成度の高い仕上げになるわけです。

 このセンスだけは、生まれ持ってのものといっていいです。もちろん、センスは磨くことができるのですが、そもそも職人は、自分は最高の技術力を持つ職人だと思っています。

 そういう職人は、だいたいパチスロによく行きます。そのような人間に、「自分磨き」ができるとは思えません。「もっとうまくなりたい」と思う職人こそ、つねによくしようと考えて仕事をしています。

 ちなみに、パチスロに行くのは仕事の反動からです。仕事に対する精神力が一杯一杯の証拠なのです。「もっとうまくなりたい」と思う心は、じつはのびしろがあるということなのです。

 ただでさえストレスだらけの仕事を、もっとよくしようと努力をする…こういうことができる人間が、センスがあるということかもしれませんね。俗にいう、「意識高い系」でしょうか。

 ですから、生まれ持ってのセンスが、そのまま職人としてのポテンシャルというわけです。上手い職人は上手いまま、下手な職人は下手なまま…というわけです。

 わたしも、上手い職人をめざして、日々精進しているつもりです。意識高い系を意識しています笑


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 次回の更新日は11/28です
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第6回【基礎知識】汚れ防止クロスはなぜブクブクになるか

 汚れ防止クロスがきらいな職人はいると思います。貼るとすぐに、ブクブクにふくらむのです。

 原因はかんたんです。それは、「うませ時間」「オープンタイム」が足らないからです。「うませ」と「オープン」は同じ意味です。

 ちなみに、「うませ」とは内包という意味だと思います。糊をクロスに内包させるということです。つまり、糊をクロス(裏地)にしみ込ませるのです。

 しみ込ませるとは、糊(水分)をクロスの裏地に満たせるということです。かんたんにいうと、湿らせるのです。

 「うませ」「オープンタイム」の目安の時間というのは、糊の中の水分による浸透時間と考えられます。要は湿らせ時間なのです。

 糊に含まれる水分により、クロスは伸びます。洗濯物も、濡れているときは伸びますよね。これが重要なのです。その状態が施工のタイミングというわけです。

 そして、ブクブクにふくらむ理由は、まだクロスが伸びきってない状態で施工をするためです。

 クロスを天井や壁に貼りつけると、その場に固定されます。

 一方、クロスはまだ伸びきっていないので、伸びようとしています。伸びた部分が、行き場を失い縦方向に逃げる・・・とうわけです。それがブクブクふくらむという現象になります。

 では、なぜ汚れ防止クロスだけそういう現象こ起こるかといいますと、汚れ防止は一般のビニールクロスの上に、さらにビニールのフィルムで覆われていて硬いのです。

 硬いとはクロスの平面強度の高さです。平面強度とは、平面になろうとする力です。その力が強いので、接着剤の接着能力に勝るというわけです。

 一方の一般ビニールクロスはまだ軟らかく、それこそ柔軟です。平面強度は低く、柔軟なためなんとか接着できていると考えられます。

 どのみち、「うませ時間」「オープンタイム」はビニールクロスにも必要なのです。

 以上が、汚れ防止クロスと一般ビニールクロスの構造をもとに、分析した結果です。

 むかし、ブクブクの現象を「ガスが出る」と真顔で答える職人がいました。「なんのガス?」と聞くと答えられませんでした。

 下地相手はいつものプラスターボードなのに、ガスなどあるはずもありません。

 しかし、だれかが「ガスだ」と言うと、同調してしまうものですね。

 ここに、思考の限界を感じます。自分で考えるのをやめるのです。思考力がないと、自分の知識のみで説明しようとするのです。

 クロス貼りもふくむ建築の工事は、すべては物理で成り立っています。

 もしガスが出るなら、なんのガスなのか、なぜ汚れ防止クロスだけなのか、なぜ一般ビニールクロスは出ないのか。それを比較して考えるべきです。

 うませ時間さえあれば、いわくガスは出ません。なぜ、うませ時間は必要なのか。その理由はなんなのか。クロスの構造もふくめて考えないといけないのです。

 答えは、ただの湿りによる伸びようとする力のあらわれで、その力は接着剤をも凌駕する・・・ということです。

 また、うませ時間が必要だとわかっていても、すぐにクロスを貼ってしまう職人もいます。その理由もあります。いつかお話したいと思います。



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 次回の更新日は11/14です
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第5回【コラム】クロス貼りはどうやったら上達するか

 むかし、ドラえもんの作者の藤子・F・不二雄に、漫画家志望のひとがたずねました。

 「どうやったら漫画がうまくなりますか」

 「漫画を描き続けなさい」

 巨匠の答えはそれでした。

 クロスも、貼り続ければうまくなります。

 いまはYouTubeがあるので、それを手本にして貼ればいいのです。

 さて問題は、職人でも上手い下手がいることです。

 手先が器用かどうかもありますが、もっと大事なことは、根気です。

 柄物クロスを除くクロスのクレームは、ひとつしかありません。それは、表面に黒い部分がないかどうかです。

 黒い部分とは、汚れやスキマです。白いクロスの場合、表面は白のはずなのです。デコボコによる影も、黒になります。

 表面に黒があると目立ちます。それがクレームというわけです。

 黒をなくすなら、スキマならコーキング、ジョイントならその対策、デコボコなら下地処理が必要です。
 
 それらの対策をコツコツやれば、クレームのない仕上がりというわけです。

 ちなみに、手先が器用というのは、コツコツした作業を苦もなくできるひとのことをいいます。つまり、根気が最初から備わっているのです。

 「オレは不器用だから」と言うひとがいますが、手作業においての根気がないだけです。

 もし、ガンダムのプラモデルをきれいに完成させたら1億円もらえるとしたら、だれもが根気よく作業に取り組むはずです。

 根気があるひとは、たとえ1億円もらえなくても、何かしらのやりがいを自分で見つけて、取り組むことができるのです。

 そういう根気をもとに、よい仕上がりを目指せる人間が、上手な職人です。

 ですから、上手な職人は、だいたい暗い人間です。コツコツチマチマやるからです。

 いかに自分に根気を持たせるかが、職人としての分水嶺です。



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 次回の更新日は11/7です
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第4回【基本技術】手糊!

 しかたなく手でクロスに糊をつける場合、基本はローラーで塗ります。

 ところが、ローラーっていうのは、なかなかのクセモノで、塗り忘れて「スカスカ」だったりします。

 スカスカはまだいいとして、塗り忘れは結構めんどくさいのです。

 そこで、確実に糊付けをする方法に、「クシ」で塗るがあります。

 床に糊を塗るように、クロスに糊を塗るのです。このメリットは、均一に塗れることです。

 「クシの目」が気になるなら、クシで塗ったあとにローラーで「均(なら)す」のもいいですね。

手糊
●糊のクシは、ゴム製のヤヨイ「NP-2000」付属のものがオススメ!



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 次回の更新日は10/28です
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第3回【コラム】クロスは「はがす」か「めくる」か

 地方や親方によって、呼び方がちがいますね。関西圏では「めくる」を使うようです。

 どちらが正しいのかは、じつはどうでもいいことなのです。通じればいいのですから。しかしここは、厳密な意味を考えてみます。

 国語辞典で意味をしらべると、クロスは「はがす」です。「はがす」は取り去るという意味です。「シールをはがす」でわかるとおりです。

 古いクロスを取り去って、新しいクロスを貼る…ということです。

 「めくる」は「ページをめくる」「布団をめくる」というように、「めくればもどせる」という一時的な状態をしめすニュアンが強いです。「取り去る」というニュアンスではありません。

 小学生男子による「スカートめくり」もあります。「スカートはがし」ではありませんよね。それは変態行動になります。

 この2つの言葉は、作業工程でもあります。「めくって」「はがす」ですよね。つまり、取っ掛かりとその後…という感じです。

 そういうことを考えれば、「めくり」も「はがす」もまちがいではないことになりますね。



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 次回の更新日は10/14です
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第2回【基礎知識】パテの上にクロスがつかない理由

 「パテの上はクロスがつかない」

 これは、むかしから言われていることです。

 結論を言うと、パテにつかないのではなく、ペーパー(サンダー)で擦った粉がパテ上に残り、クロスの裏面の糊を「飛ばす」のです。

 パテにクロスはつきます。実際、総パテ(全面パテ)をしてクロスを貼っても、はがれてくることはありません。

 単に「パテにクロスはつかない」と思うのではなく、その理由をしっかり認識することが大事です。

 理由を知らないと、その対策もできないのです。原因は「粉」なので、粉を取りのぞけば、ピッシャリつきます。

 ちなみに、「つかない」という事実は、都合のいいことでもあります。それは、下地を拾わなくさせるからです。

 下地を拾わないということは、クロスの表面がフラットになるということなのです。パテあとを出さないのですね。

 そんな、下地がまったく出ていないクロスの張替えの現場にかぎって、はがすとパテの部分が浮いていることがあります。

 また、パテ上でジョイントをしている場合は、ジョイントが浮き浮きになっていたりします。これも、粉による接着不良の結果なのです。

 前任者は、懸命にペーパーを擦りまくり、それによって出た大量の粉が糊を飛ばし、結果的に下地の露出を防いだのです。

 皮肉なことですが、これもペーパーをする意義のひとつなのです。

 ですから、パテの上でのジョイントは、かならず浮いてきますので、避けるべきなのです。

 しょうがなくジョイントをしたり、総パテの場合なら、ジョイント部分だけ粉を取りのぞく必要があります。水ローラーを転がすだけでも効果はあります。



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 次回の更新日は10/7です
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第1回【コラム】日本にクロス屋は何人いるのか?

 先日、国内のフリーランス人口は300万人とのニュースがありました。いわゆる自営業者や一人親方です。そのうち、1位は建設業で43万人です。

 この43万人の中に、われわれクロス屋がいます。ではその中に、クロス屋は何人いるのでしょうか。

 これは、むかしから気になるところでした。こういうニュースが出たので、クロス屋は何人いるのかを独自で計算してみました。

 建設業と呼ばれる職業は、全部で29種類あります。その中でフリーランスとして働ける職種は、クロス屋も含め、大工、電気屋、設備屋、塗装屋といったところでしょうか。

 また、車1台に仕事道具をつめ込むことができる…といったこともポイントです。内装系の職人に多く見られます。

 外装系は、鳶職や土木工事がおもです。彼らは足場やトラックを複数用意しておかなくてはならず、とても自営業ではまかないきれません。

 つまり、仕事の規模のちがいで、自営業(一人親方)か従業員を抱える会社とわかれるといっていいかもしれません。

 内装系のみならず、外装系でもフリーランスの職人はいるでしょうから、ざっと10種類はいると考えます。そうなると、クロス屋さんは全国に43000人はいると推測できます。

 それを人口比率に落としてみると、東京都に4700人おり、大阪府には3000人、広島県には960人がいると計算されます。

 ただこの数字には、床職人と内装屋も含まれます。それも考慮してクロス屋、床職人、内装屋の3で割ると、クロス屋は日本で14000人がおり、東京都には1500人、大阪府に1000人、広島県に300人ものクロス屋がいることになります。

 多いのか少ないのかわかりませんね(笑)

 全国の工務店は16万社あるとのことらしいので、それに対してクロス屋と床職人、内装屋と合わせて43000人というのも、すこしは納得できそうな数字ですね。

 ※43000人という数字は独自に予想したものです。


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次回の更新日は9/28です
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プロフィール

インテリアこうち

Author:インテリアこうち
2001年からフリーランスの内装職人。2005年に「町の便利なクロス屋さん」を開設。

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