FC2ブログ

建築系職人2.0

町の便利なクロス屋さん公式ブログ。バージョンアップし続ける職人になるため道中記

第21回【コラム】コロナ対策

 対岸の火事だったはずが、またたく間に世界に飛び火しました。

 暗い話をするとキリがありませんが、発生当初の「正しく恐れる」のとおり、ウィルスというものを深く知ることが大事ですよね。

 仕事ができなくなったり、雇いどめを受けたひともいるようです。さいわい、わたしは仕事が切れることなく、いまのところふだんどおりの日々です。仕事をいただけるお客さんに感謝です。

 予防についてですが、現場仕事では、水道がつかえなかったりして、手洗いうがいの徹底には限界があります。

 「現場」とは、だれかの「住まい」になりますので、だれかの住まいにウィルスを残すことにもなります。

 そこで、こちらができる対応として、手すりやドアノブにスプレーをかけて消毒することです。

 室内では、換気ができない場合には超音波式噴霧器を持ち込み、次亜塩素酸水入りの水を使用します。

 これは、空気中のウィルスを消毒したり滅菌する作用があります。花粉症にも効くそうです。しかも、人体には無害です。

 このように、現時点で考えられる対策を講じることが、工事人としてのせめてもの取組みです。

DSC_0481.jpg
■次亜塩素酸水入りの噴霧器です。空間を殺菌します。かすかにプール消毒臭がしますが、個人的にはお気に入りです笑

DSC_0482.jpg
■消毒スプレー装備です。

 自覚症状がなくても他人に伝染してしまう、だれもが「運び屋」になりうるのが、コロナウィルス怖さです。ですから、自分自身がウイルスホルダーと想定して行動することが、感染爆発をふせげますよね。

 ちなみに、コロナよりも恐ろしいのは、鳥インフルエンザH5N1です。ウイルスが変異して人間に伝染った場合、致死率は驚異の50%といわれています。

 映画「アベンジャーズ〜エンドゲーム」のサノスの「指パッチン」のようですね。

 いまから100年くらい前にも、「スペイン風邪」が流行りました。これもインフルエンザです。

 感染者はなんと5億人。当時の世界人口の1/4です。死者数は数千万人といわれていますから、致死率は数%でしょうか。我われは、スペイン風邪に免疫で打ち勝った子孫なのです。

 とはいえ、じつはいまでも、インフルエンザが生じたことによって亡くなるかたは、毎年1万人はいますし、世界でも数十万人はいます。

 死者数だけみれば、結果的にはコロナよりもインフルエンザのほうが強力です。

 スタッフには、殺菌スプレーと次亜塩素酸水入りの噴霧器を持たせ、必要あらば使用させます。

 また、免疫力を高めるためにも、乳酸菌飲料や発酵食品を毎日摂り入れるように促しています。

 どのみち、インフルエンザは流行り続けますし、新たなウイルスも出現するといわれています。これが時流と考えて、このような対策をやり続けるしかありません。

 コロナウイルスには、はやく季節性インフルエンザに「降格」してもらいたいものですね。



-------------
 次回の更新日は4/14です
-------------

第20回【コラム】室内に水たまり!?

 「雨が降ったあと、壁から水が漏れてきた」という案件があり、現地調査に行きました。わたしはクロス屋なのですが…。

 現場に行くと、部屋の隅の柱のふもとから、水が出ていたようです。水は入居者さんがふき取ったあとでした。

 現地調査の日は雨でした。ところが、漏れているはずの水は見当たりません。

 これはどうやら、多湿による結露現象だと思いました。室内は、洗濯物も干してあり、湿度が高かったのです。

 もし雨漏りによるものなら、外壁内部からの水ですので、かならず壁内部からカビが生えるのです。今回は、カビひとつありませんでした。

 さらに、後日の晴れの日にも、水たまりができることが確認されたのです。これはもう、結露しかありません。

 そこで、入居者さんには、なるべく換気を心がけるようにお願いしました。

 室内に水たまりができる現象は、科学的にはくわしく説明できませんが、結露しかないのです。

 換気といっても、じつはむずかしいのです。目的は部屋を乾燥させることですが、ほんとうに乾燥していれば、窓ガラスの水滴すらなくなるのです。

 窓を開けたからといっても、そうかんたんには結露はなくなりません。鉄筋コンクリートの建物は、頑丈なだけに保温効果もあります。ですから、マンションの結露はひどいのです。

 こうなると、除湿機をつけるしかありません。

 また、山のふもとや田んぼだった場所の家も、湿気がひどいこともあります。以前、こういう現場がありました。これも、除湿機でなんとかすることができます。

 ただし、ずっとつけっぱなしにしておかなくてはなりません。不憫ですが、いたしかたありません・・・。



-------------
 次回の更新日は4/7です
-------------

第19回【基礎知識】パテ論〜きれいなパテ、汚いパテ

 ツイッターで、若いクロス屋さんが写真投稿をしているのを見かけました。写真は2枚。きっちりとまっすぐに打たれたパテと、ふにゃふにゃして曲がったパテ。

 ふにゃふにゃして曲がったパテは、自分の親方がしたものといい、きっちりとまっすぐ打ったパテは、自分のものだといいます。

 さらにつけ加えて、お客さんか見に来たとき、どちらが好印象を持つか…てな感じのことをコメントしていました。

 これは当然、きっちりとまっすぐに打たれたパテでしょう。ふにゃふにゃ打たれた親方のパテではないと…。

 また、スピードは親方のほうが速く、自分は遅い…とのことでした。

 論点はいろいろありますが、わたしとしては「親方推し」です。スピード性を高めてでもパテは早めに終わらせるべきです。パテの「見た目」は、クロスの仕上がりとは関係ないからです。

 とはいえ、素人のお客さんは、きれいなパテを評価するはずです。これはもう、しょうがないですね。

 その若いクロス屋さんの現場は、新築一戸建てのようでした。おそらく、上手な大工さんによる下地だと思います。

 下地がきれいなら、パテも均衡がとれます。そうでないリフォームの場合は、多くは下地はガタガタです。

 ガタガタを調整するのですから、パテもそれに合わせた見た目になるのです。それは、ガタガタしてふにゃふにゃしたパテにもなりうるのです。

 つまり、比較的まっすぐに打てるパテは、きれいな下地が条件となります。それならば、まっすぐきれいに打てます。

 しかし、わたしはそうはしません。それには時間がかかるのと、きれいな下地の現場は、ほとんどないからです。それならば、ガタガタした下地ありきで、スピード性のあるパテにこだわるほうがベストです。

 「パテはまっすぐに」という概念を、プロであるクロス屋がSNSで発信されては、あまりよろしくないように思います。まあ、わたしも人のことは言えませんが…。

 というより、わたしが一番気になったのは、自分の親方を吊し上げ、「評価されるのはボクだと思いませんか?」というものです。

 主張したいことはわかりますが、不義理な弟子ですね…。



-------------
 次回の更新日は3/28です
-------------

第18回【コラム】職人いわく「カネはいらん」

 むかし、ある建築系のブログで、職人を呼んで作業をしてもらおうとしたものの、段取りの問題でできずに職人は帰った・・・という内容の記事がありました。

 後日、その職人は、その日の日当の請求をしなかったそうです。「仕事をしていないのだから、カネは受け取らない」という職人の気概です。それに感動して、ブログを書いたと思われます。

 美談ですね。

 たしかに職人は、そういうところがあります。しかし、この話の問題点は、段取りの悪さにより、職人は日当を得られなかったという悲劇さなのですが。

 ちょっときびしくいうと、お金を請求してこなかったので、ホッとして意気揚々でブログを書いたのではないでしょうか。

 職人は損得勘定を抜きにしがちなので、あまり儲けれないのです。もちろん、本人もそれを自覚しており、またそれも生きかたなので、いいかもしれません。

 とはいえ、やはり儲けないと話になりません。家族がいるならなおさらです。なのに、段取りの悪さで泣く泣く帰った職人は、建前(という名の気概)を吐くことしかできません。それに感動してブログを書かれても、なんにもなりません。

 現場管理者には、こういうことがないようにしてもらいたいですよね。仕事をする側も、ちゃんと作業をして日当を得たいと思っているのですから。

 ちなみに、おおっぴらに「カネはいらん」と言う職人ほど、知人から借金し、取引先への不払いが多いように思います。まあ、お金を受けとらないのですから当然です。

 「世の中カネじゃない!」と、お金に振りまわされずに生きているつもりでも、結局それは、近親者に迷惑をかけて、日々お金に困ることになります。

 なにをするにも、お金は必要です。電気や水道、ガスにインターネットなど、インフラを利用しないと生きられない社会に属しているのですから、しょうがないですね。

 というわけで、「カネはいらん」と言う職人には、あまり近づかないほうが懸命です。取引先にも、そういう気質のひともいますが、だいたい破産しています。

 それもこれも、お金を受けとらないというクセがついているからです。つまり、貧乏神がとり憑いているのですね。

 職人のカッコいい生き様である「カネはいらん」は、かなり問題なのです。そんな職人についていく家族や弟子は、まず不幸になります。

 ですから、ついて行くなら、セコい業者が一番です。わたしの経験上、セコいひとほど不払いはなく、「カネはいらん」ひとや「カネカネ言うな!」と怒るひとほどずさんです。



-------------
 次回の更新日は3/14です
-------------

第17回【上級技術】こだわりのスポンジ!

 クロス屋御用達のスポンジは、「素顔がキレイ」(ただのスポンジなのにこういう商品名なのです)。

 わたしの場合、それを4分の1ほどカットして使います。

 理由は、腰袋に入れやすいのと、薄いぶん、糊をふき取りやすくするためです。

 スポンジは薄くて小さいほど、糊を確実にふき取りやすくなります。力を込めやすいからです。

 たまにデカいスポンジを使う職人がいますが、大抵の場合、クロスを汚していたりします。

 デカいので手に収まりきれず、一度ふき取りをした飛び出たスポンジ部分がクロスにあたり、汚してしまうのです。

 こういうことを気にするかしないかです。つまり、小さいスポンジを使う職人ほど、汚れを気にするということです。

 スポンジの大きさを見れば、ある程度、職人のスタンスがわかるのです。

 ちなみに「素顔がキレイ」ですが、いまは二代目が発売しています。あれは、個人的にですが使いものになりません。

 スポンジがボロボロちぎれて落ちるのです。床を汚しても平気なら、使えるかもしれません。

 またこれも、そういうことを気にするかどうか…ですね。

DSC_0199.jpg

DSC_0200.jpg
すきまに収まりやすい!



-------------
 次回の更新日は3/7です
-------------

第16回【上級技術】クロスを立たせる

 十数年前、新築住宅の現場にいるとき、ふと思いたったことを覚えています。

 通常、クロスに糊をつけたあと、寝かせて並べます。そこを立たせることにしたのです。

 立たせた理由は、クロスを汚さないためです。寝かせると、どうしても養生からはみ出ててしまうし、だれかが端っこを踏んづけてしまうのですね。

 当時、見たこともない保存方法だったので、ほかの職人たちから不思議がられました。

 我ながらこれは革命的で、クロス保存の欠点をすべて補完するものでした。しかも、デメリットがないのです。つまり、究極のクロス保存方法です。

◎折ジワができない

◎汚れない

◎長期保存が可能

◎保存専有面積がせまい

 いまでは、ヤヨイからクロスを立たせる専用箱が発売されています。

 わたしの場合、もちろんそんな箱が存在しないときからやっていましたので、クロス一本、素で立たせることも可能です。
DSC_0193.jpg

DSC_0194.jpg
こんな芸当もできる!



-------------
 次回の更新日は2/28です
-------------

第15回【基礎知識】冬場でも手はサラサラ!

 水をつかうクロス屋にとって、冬場はつらい環境です。手が荒れて、ピキピキになるのです。

 水は冷たいので、パイプヒーターで温かくします。しかし、温かいバケツに手を突っ込むと、手が荒れるのです。痛し痒しですね。

 手荒れは不快です。これをなくするには、ゴム手袋を使用するしかありません。

 ゴム手袋なら、ぬくぬくのバケツに手を入れられて、最高にしあわせです。

 ゴム手袋の効用は、結構あるのです。

◎手が荒れない

◎手先を暖められる

◎スポンジによる糊のふき取りがよい

 ちなみにわたしは、ゴム手袋を使用するクロス屋を見たことはありません。みんな、赤切れになって薬を塗っているのです。

 わたしからすれば、牛乳で一気飲みして腹をこわし、正露丸を服用するようなものです。牛乳の一気飲みをやめれば、腹痛は起こらず、正露丸は必要ないでしょう。

 または、チート行為だとだも思っているのでしょうか。だれもやらないので、恥ずかしさもあるのかもしれませんね。

 いまこの記事を読んでいるあなたは、こっそりゴム手袋を利用しているのでは?

DSC_0192.jpg



-------------
 次回の更新日は2/14です
-------------

第14回【基礎知識】警報装置などに切りあとがある理由

 天井に取り付けられているこの装置に、たまに十字に切られたあとがあります。

DSC_0174.jpg

DSC_0175.jpg

 これは、クロス屋のしわざです。天井を貼っているとき、クロスを貼り込もうと、切れ目を入れるのです。

 もちろん、製品に切れ目を入れるわけですから、いいわけはありません。なぜこういうことをする職人がいるのかというと、じつは職人は、自分で「オレはクロスしか切らないスゴ腕職人」と思っていたりするのです。

 つまり、クロスだけを切っていると勘違いしているのです。それで、クロスが物にひっついている状態で、カッターで切れ目を入れるのです。

 こういったものは、時間が経たないと傷あとがわからないので、切ったときはわからないのです。時間が経たないとわからないので、タチが悪いですね。

 おそらく、こういう施工をする職人は、永遠にやり続けていると思います。

 また、天井ということもあり、貼付けは時間との勝負ですし、ほかに切り方を知らないこともあります。現場も賃貸マンションなので、よけいでも施工スピードのためにそうしてしまいます。

 もちろんわたしは、「浮かして」切れ目を入れるので、対象物に切れ目を入れることはありません。そのため、ハサミを多用します。ハサミなら、対象物にあてがわなくて済むからです。

 ですので、ハサミを装備していない職人は、こういう施工をする可能性があり、要注意です。



-------------
 次回の更新日は2/7です
-------------

第13回【コラム】ストレスフリーな仕事!?

 とある金曜日の夕方。居酒屋に入って席にすわると、となりにはサラリーマンらしきグループがいました。話し声が聞こえてきます。

「部長はわかっとらんよ」

 日本の脚本家の9割は描くであろう、居酒屋でのサラリーマンのセリフです。典型的なグチなので、すこし感動しました。

 同時に、居酒屋はやっぱり必要な存在なんだなと思いました。仕事においてのストレスを、発散しないといけないのですね。

 その点、工事屋は彼らからくらべてストレスフリーといえます。クロス屋もそうです。

 張替えの現場では、まずクロスをはがします。このはがす行為は破壊行動なのです。ですから、スッキリするのです。

 究極的なのが、解体屋です。ショベルカーで建物を破壊します。あれはやってみたいですね。

 大工も解体をします。室内のものをバールで破壊します。肉体労働の極致ですが、ストレス発散度は、かなりのものです。

 イヤなことがあれば、それを思い出しながらバールやハンマーを振り下ろすのです。考えただけで、気持ちよさそうです。

 職人本人は、あまり意識していないかもしれませんが、知らず知らずのうちにストレスフリーの「恩恵」を受けていると思われます。

 北野武監督「アウトレイジシリーズ」に出演した西田敏行氏は、撮影中は体の調子がよかったそうです。

 病院でなにがしの数値をはかると、普段より改善していたといいます。

 その理由は、セリフです。「なんじゃいボケぇ」「ぶち殺すぞぉ」などの普段使わないキツい言葉を怒鳴ることで、ストレスが発散されたというのです。

 ですから、サラリーマンの居酒屋での「部長ぶっ殺す」などのグチは、必要なわけです。

 世の中はストレスだらけですから、自分なりのストレス解消法をみつけておくことが重要ですね。

 ちなみにわたしのストレス解消法は、ゲームと映画です。しかも、ゲームも映画も、セコく何回も繰り返してプレイしたり観たりします笑



-------------
 次回の更新日は1/28です
-------------

第12回【基礎知識】はがれ(めくれ)にくいクロスの考察

 張替え現場の一番の懸案事項は、「はがれる」か「はがれない」かです。

 これは、結構大問題なのです。というのも、はがれにくいことで生じた時間は、利益に反映されないからです。つまり、単価は同じなのです。

 この、はがれないクロスの理由を、考察していきたいと思います。

 とはいうものの、原因はよくわからないのです。職人によって、その認識はマチマチです。

◎乾燥説・・・クロス(ビニール)が乾燥して、繋ぎ止める力が弱まった(朽ちた)ため

◎ボンド・シーラー説・・・糊の接着剤能力を高めるために、混ぜ合わせたボンドや、下地面に塗布するシーラーによるため

◎材料説・・・クロス(ビニール)の種類によるちがいのため。発泡系クロスははがれにくい。乾燥説にもつながる

◎下地湿潤説・・・湿度が高い環境で、下地の表面が乾ききっていないときに施工したため。モルタルなら塗ってちょっとしてから貼ったり、ボードも仕上げてちょっとしてから貼った(ボードは積み重ね保存のため非乾燥)。糊の接着剤が下地内部の水分に誘引され、接着範囲が浸透していった

 ざっと、こんなもんでしょうか。

 乾燥していても、はがれるものもありますし、ボンド使用ならすべてがはがれにくいはずなのに、はがれる部屋もあったりします。

 下地湿潤説は、梅雨の時期をいいますが、これも、同じ時期に貼っているのにもかかわらず、はがれる部屋もあれば、はがれにくい部屋もあるのです。

 いろんなケースがあるので、どれも断定できないのです。となると、複合的に起こる事象かもしれませんね。個人的には、材料説ですかね…。

DSC_0165.jpg
ボードの表面の紙まではぎとってしまい、裏地のグレーが露出!

DSC_0164.jpg
唯一残る部分は、皮肉にもパテ部分・・・!

DSC_0163.jpg
白い部分が、クロスの裏紙がきれいに残った、本来あるべき状態



-------------
 次回の更新日は1/14です
-------------

第11回【基礎知識】このジョイントめくれの理由

DSC_0140.jpg
とあるジョイントのめくれ

DSC_0141.jpg
拡大

DSC_0142.jpg
はがしてみると、パテの上

DSC_0143.jpg
パテの上だけがクロスがついていない


 たまに見かけるこの現象の原因は、パテの上でのジョイントによるものです。

 パテの表面には、クロス貼りの前に行なったペーパー処理時に出た粉が残っています。

 その粉が、クロスの糊を吸収するのです。すると、糊の接着能力が低下します(「第2回【基礎知識】パテの上にクロスがつかない理由」参照)。

 それが時間が経つと、ジョイントのわずかなスキマに水分が入り、ホコリを呼びます。その繰り返しで、ジョイントは徐々にめくれてくる…というわけです。

 ですから、湿度の高い環境で、このような現象が起こります。写真のお部屋はキッチンでした。

 おそらく、住んでいた方は、換気扇をあまりまわさなかったと思います。よく換気をする人の家ほど、こういう現象はあまりなかったりします。

 とはいえ、ジョイントが開く場所は、決まってパテの上です。パテ以外の場所では、開いていないのです。

 ということは、パテの上にジョイントが来ないように貼れば、このようなことはなかったのです。

 ではなぜ、職人はパテの上でジョイントをするのかというと、施工スピードを重視したからです。

 パテの上以外にジョイントをするとなると、もう一本ジョイントが必要になるのです。

 これは、下地ボードの横巾サイズと、クロスの横巾サイズが同じことが原因です。

 材料が3巾で収まるのなら、3巾で収めるのがセオリーです。そのときのジョイントの数は2本です。そこを無理に3本にはしないものです。

 つまり、ボードを貼る大工とクロスを貼る職人は、同じ貼り方をするということです。

 ボードのジョイント部分にパテをして、その上にクロスのジョイントをするのです。なかなか不健全ですね。

 基本的に、大工も最小限の材料で、最低限の作業工程で施工します。クロス職人も同じなのです。

 こういうことから、クロス職人はパテの上でジョイントをしてしまうのです。

 職人によっては、ジョイントを増やしてでもパテ上を避けようとします。こういう職人は、良い職人といえます。もちろんわたしも、パテ上を避けてジョイントをします。

 しかしそれは、余分な工程を必要とします。時間を犠牲にしてしまうのです。それでもパテ上ジョイントを避けるかどうかは、職人のポリシーに委ねられます。

 ほとんどの職人は、残念ながら前者です。施工スピードが早い職人がそうです。

 ただ、パテ上ジョイントは悪だとわかっていても、ジョイントの数は少ないほうが正義と思っている職人もいます。

 こういう職人は、マジメで技術力が高いです。写真の現場でも、コーキングなどが非常に几帳面にうまく打たれていました。

 皮肉なことながら、マジメゆえに懸命にペーパーを擦り、仕上げとしての正義を大義としてパテ上ジョイントをして、結果、ジョイントの劣化を早めているのです。

 残念な話ですが、ほとんどのクロス職人が、これに当てはまります。



-------------
 次回の更新日は1/7です
-------------

第10回【上級技術】パテで膨らんだまま固まったこいつをどうするか

DSC_0103.jpg
 このままクロスを貼ると、ボコボコのままになりクレームになります。これをなんとかするには、3つの方法があります。

 1つ目は、ペーパーで擦りまくります。擦った粉で糊を飛ばし、下地露出を防ぎます。事実上の袋張りになります。

 2つ目以降は有料です。マガブロを購入ください。1つ目以外の方法を知りたい方のみご覧ください。



-------------
 次回の更新日は11/28です
-------------
Purchase and enjoy MagabloSM!
This content is a MagabloSM (pay-to-view).
Purchase this content to continue to read!
What is MagabloSM?

第9回【コラム】100%の力を出して仕事をしてはいけない

 聞き捨てならない話ですが、職人はフルパワーで仕事に臨んではいけないのです。

 基本的に職人は、よい仕上げを目指します。しかし、リフォーム工事ともなると、よい仕上がりにならないときがあります。

 古い下地に新規の仕様をくわえるのですから、よくなるわけはないのです。それが、下地不良でクレームになることがあります。

 下地を造るのは大工です。大工も大工で、できることはしています。しかし、最終仕上げのクロス工事で、やっぱり下地不良というわけで、クレームになるのです。

 下地不良なのは、できるかぎりのことをしたクロス屋の責任ではありません。

 ですが、顧客からのクレームは、対応せざるをえません。それで、クレームとしてクロスを張替えることにより、顧客に対する誠意を見せるわけです。

 張替えて下地不良が改善するかどうかはべつとして、とにかく張替えです。しかも、材料費は職人持ちという理不尽極まりない話です。

 わたしも、こういう理不尽さを何回も経験しました。クロス工事において、こういう事例は数多くあります。

 よい仕上がりのために全身全霊をかけた結果、構造上仕方なしのクレームで、材料費を払わされ、再度の工事はもちろんタダ働きになるわけです。一回目の工事費はもらえたとしても、結局は赤字です。これほど惨めで屈辱的なことはありません。

 職人がブチ切れて、クレームをなおしにいかないこともありますが、それは、こういうことを経験していた可能性があります。

 職人に逃げられる内装屋や工務店は、このことを理解しないといけません。これを解決するには、内装屋や工務店などの管理者の経験や国語力がモノを言います。

 クレームの多くは下地の問題ですから、下地が出ざるを得ない構造上の仕組みを、きちんと顧客に伝えられればいいのです。それを、顧客に最初に伝えることです。

 「下地処理はいたしますが、どうしても下地の不陸が露出する可能性があります」とでも言えば、ほとんどの顧客は納得してくれるはずです。

 納得してくれることが、一番重要です。後で説明でもしたら、言いわけみたいになり、顧客に「なんでいまごろそんなことを言うの?」と、よけい怒らせることにもなります。

 そういう説明もしないで、事後処理的に「クロス屋が悪い」としてクレームを出して張替えさせ、「誠意は見せます」となるのです。

 そんな、惨めと屈辱の毎日では、気が狂います。つまり職人には、「かばってくれる管理者」が必要なのです。

 顧客にきちんと説明できる経験と国語力を持つ管理者が必要なのです。しかし、残念ながら、あまりいないように思います。

 そういうことまで考えると、なんらかのクレームがあることを前提として、現場に臨むべきです。ですから、毎回100%の力を出すのは、無謀とも思えるのです。 

 逆にいえば、しっかりしている管理者の現場なら、100%の力を惜しみなく発揮する価値があるということです。とはいえ、やはり全身全霊で挑むのはリスクです。

 100%の力を出さないなら、どうすればいいのかというと、70%くらいの力を出すのがベストです。

 残りの30%は、またなおしに来るつもりでいればいいのです。そうすれば、いざクレームが来ても「ま、70%の力しか出していないからね」と、自分に言いわけができて自分を護れるのです。

 職人の仕事は、自分の分身のようになります。それをダメ出しされたら、自分自身が否定された気持ちになり、死ぬしかないような気持ちになるのです。

 全身全霊で仕事をするべき職業は、年俸何億も稼ぐスポーツ選手だけかもしれません。

 とはいえ、70%ともなると、手抜き感は否めません…まあ、顧客に「70%の仕事をしますから」なんて言うことはないのですが…。しかし、こう考えてはどうでしょう。

 ドラゴンボールの孫悟空は、70%の力でも余裕でヤムチャはおろかフリーザをも倒せるはずです。ポテンシャルの差が重要です。つまり、孫悟空のように、自分自身をかぎりなく成長させればいいのです。

 職人の成長とは、技術力向上もそのひとつです。自分の70%の技術力が、他人の100%の力であり、ハイクオリティーの仕事であればいいのです。

 技術力をパーセンテージであらわすのはむずかしいですが、大事なことは、職人としてやっていくための、クレームに対する精神のコントロールです。

 毎回100%の力でやっている職人は、クレームがあっても対応してくれません。プライドが許さず、「ウチはそんな仕事はしてない」とかあれこれ言いわけをするものです。なおすことが屈辱で、それが耐えられないのです。

 すると、内装屋や工務店は、あきらめて職人を変えるのです。皮肉なことに、技術力がある職人ほど、仕事をなくす傾向にあります。その多くは、プライドゆえのものです。さらに悪いことに、仕事を選んだりもします。

 職人は単純ゆえに、すぐ有頂天になります。ですから、技術力がある職人ほど、やっかいな人間はいません。それでも使いこなすのが、すぐれた管理者というわけです。

 一番いい職人は、技術力は普通で、クレームでもイヤな顔ひとつせずに来てくれる職人です。

 そういう職人なら、たくさん仕事をふりたいと思うはずです。もちろん、技術力が高くて、クレームでもすぐに来てくれる職人が最高…ということになります。

 そんな、すこし気を抜いて仕事をする…これが最良です。たとえ気を抜いた仕事でも、クオリティーが申し分なければいいのです。

 これなら、日々を穏やかに余裕を持って仕事に臨めます。わたしは、そこを目指しているのです。



-------------
 次回の更新日は12/14です
-------------

 | ホーム |  »

カテゴリ

お知らせ (1)
コラム (9)
基礎知識 (8)
基本技術 (1)
上級技術 (3)

最新記事

プロフィール

インテリアこうち

Author:インテリアこうち
2001年からフリーランスの内装職人。2005年に「町の便利なクロス屋さん」を開設。

リンク

コメントについて

当ブログへのコメントは受け付けておりません。工事依頼はリンクの「町の便利なクロス屋さん」からどうぞ!