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建築系職人2.0

町の便利なクロス屋さん公式ブログ。バージョンアップし続ける職人になるため道中記

第11回【基礎知識】このジョイントめくれの理由

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とあるジョイントのめくれ

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拡大

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はがしてみると、パテの上

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パテの上だけがクロスがついていない


 たまに見かけるこの現象の原因は、パテの上でのジョイントによるものです。

 パテの表面には、クロス貼りの前に行なったペーパー処理時に出た粉が残っています。

 その粉が、クロスの糊を吸収するのです。すると、糊の接着能力が低下します(「第2回【基礎知識】パテの上にクロスがつかない理由」参照)。

 それが時間が経つと、ジョイントのわずかなスキマに水分が入り、ホコリを呼びます。その繰り返しで、ジョイントは徐々にめくれてくる…というわけです。

 ですから、湿度の高い環境で、このような現象が起こります。写真のお部屋はキッチンでした。

 おそらく、住んでいた方は、換気扇をあまりまわさなかったと思います。よく換気をする人の家ほど、こういう現象はあまりなかったりします。

 とはいえ、ジョイントが開く場所は、決まってパテの上です。パテ以外の場所では、開いていないのです。

 ということは、パテの上にジョイントが来ないように貼れば、このようなことはなかったのです。

 ではなぜ、職人はパテの上でジョイントをするのかというと、施工スピードを重視したからです。

 パテの上以外にジョイントをするとなると、もう一本ジョイントが必要になるのです。

 これは、下地ボードの横巾サイズと、クロスの横巾サイズが同じことが原因です。

 材料が3巾で収まるのなら、3巾で収めるのがセオリーです。そのときのジョイントの数は2本です。そこを無理に3本にはしないものです。

 つまり、ボードを貼る大工とクロスを貼る職人は、同じ貼り方をするということです。

 ボードのジョイント部分にパテをして、その上にクロスのジョイントをするのです。なかなか不健全ですね。

 基本的に、大工も最小限の材料で、最低限の作業工程で施工します。クロス職人も同じなのです。

 こういうことから、クロス職人はパテの上でジョイントをしてしまうのです。

 職人によっては、ジョイントを増やしてでもパテ上を避けようとします。こういう職人は、良い職人といえます。もちろんわたしも、パテ上を避けてジョイントをします。

 しかしそれは、余分な工程を必要とします。時間を犠牲にしてしまうのです。それでもパテ上ジョイントを避けるかどうかは、職人のポリシーに委ねられます。

 ほとんどの職人は、残念ながら前者です。施工スピードが早い職人がそうです。

 ただ、パテ上ジョイントは悪だとわかっていても、ジョイントの数は少ないほうが正義と思っている職人もいます。

 こういう職人は、マジメで技術力が高いです。写真の現場でも、コーキングなどが非常に几帳面にうまく打たれていました。

 皮肉なことながら、マジメゆえに懸命にペーパーを擦り、仕上げとしての正義を大義としてパテ上ジョイントをして、結果、ジョイントの劣化を早めているのです。

 残念な話ですが、ほとんどのクロス職人が、これに当てはまります。



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 次回の更新日は1/7です
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インテリアこうち

Author:インテリアこうち
2001年からフリーランスの内装職人。2005年に「町の便利なクロス屋さん」を開設。

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